中古マンションを売却する売主が不安を感じた時に利用できる相談窓口

自宅マンションを売却する売主のほとんどは、不動産の売却経験がなく専門的な知識もありません。
そのため、売主が自宅の売却活動の途中で不安や疑問を感じたり、購入希望者(買主)や不動産会社との間でトラブルが発生することもあります。
しかし、不動産トラブルが発生しても、知識も経験もない売主には対処法がわかりません。
そこで、はじめて自宅を売却する売主は、売り出しを開始する前に、不安や疑問、トラブルに遭遇した時の解決手段についてあらかじめ知っておく必要があります。
このページでは、売主が困った時に相談できる専門家や相談窓口についてご紹介しますので、自宅売却の基礎知識として参考にしてください。
では、自宅を売却する時にはどのようなトラブルが起こりやすいのでしょうか?
目 次
中古マンションの売却でよくあるトラブル事例
不動産を売却する時には、予期せぬトラブルが発生する可能性があります。
そこで、中古マンションの売却で発生しやすいトラブル例をいくつか見てみましょう。
売却活動中に発生するトラブル例
- 売却活動を開始したら、個人情報や売却理由など、事実と異なる噂がマンション内に広がってしまった。
- マンションの共有名義人や家族が、売却活動中に突然「家を売りたくない」と言いだした。
- 自宅マンションの売却活動が長引いている間に不動産相場が下がり、売却代金では住宅ローンの完済が難しくなってしまった。
買主とのトラブル例
- 売買契約書に「売主は売却後の修理責任を負わない」という特約を付けたにもかかわらず、物件引き渡し後に買主から修理費用を請求された。
- ハウスクリーニングを条件に売買契約を結んだが、買主が仕上がり具合を気に入らず、クリーニングのやり直しを要求された。
- 自宅を買主に引き渡し後に「上の部屋の生活音が気になって眠れない」と、クレームを言われた。
不動産会社とのトラブル例
- 不動産会社に自宅の価格査定を受けた際「相場よりも高い価格で売却できる」と言われたので仲介契約を結んだが、いざ売却を開始した途端に値下げを要請された。
- 仲介を依頼している不動産会社の広告活動が積極的でないため「もっと広告活動をしてほしい」とお願いしたら、売主の実費だと言われた。
- 不動産会社の担当者が全く活動報告をしてくれないので、現在どのような状況なのかがわからず不安だ。
このように、中古マンションの売却で起こるトラブルは、売却活動中だけでなく、売却後にも発生する可能性があり、売主は自宅を引き渡した後でもまだ安心はできません。
また、リフォームやハウスクリーニング、引越しなどで利用した業者との間でトラブルが発生することもあるのです。
しかし、これらのトラブルを解決するためには、民法などの法律知識や不動産取引の専門知識が必要。
そのため、自宅の売却時に発生したトラブルは、売主自身では解決できないことも多いのです。
ですから、売主がトラブルに巻き込まれたり、売却活動で不安や疑問に思ったことがあれば、売主は1人で悩まず、専門知識を持つ人に相談することをおすすめします。
そこで、売主が困った時に相談できる、不動産に関連する専門家にはどのような人がいるのかを見てみましょう。
売主が困った時に相談できる5つの専門家
不動産の売買には、不動産知識だけでなく、法律や税金など、様々な専門知識が必要です。
そこで、国家資格を持つ不動産取引に関連する5つの専門家をご紹介します。
・弁護士
弁護士は「法律」の専門家。
不動産売買の契約トラブルはもちろん、不動産の名義や相続など権利関係、住宅ローンの返済などの債務に関する相談もできます。
・税理士
税理士は「税金」に関する専門家。
住宅ローン控除や相続税、贈与税など、不動産売買に関係する税金の相談や確定申告の書類作成などについて相談できます。
・司法書士
司法書士は「権利に関する登記」の専門家。
自宅を売却した時は、売主から買主への名義を変更する「所有権移転登記」や住宅ローンを完済したときの「抵当権抹消登記」などで、売主が必ずお世話になる専門家です。
また、あまり知られてはいませんが、司法書士は法律の専門家でもあります。
相続や借金返済、売買契約に関する金銭トラブルなども相談することができます。
・不動産鑑定士
不動産鑑定士は土地や建物の「適正な地価」を公的に評価する専門家。
自宅を売却するときは、不動産会社に「価格査定」を受けますが、この査定価格は「公的評価」ではありません。
不動産会社が行うのはあくまでも「売り出し予定価格」の見積り。
ですから、自宅の売却価格や資産価値に疑問があるときは、不動産鑑定士に依頼すると、適正な価格を評価してもらえます。
・土地家屋調査士
土地家屋調査士とは「不動産の表示に関する登記」の専門家。
土地や建物の地番などの調査や測量、登記手続きについて相談することができます。
また、土地家屋調査士の多くは、一級建築士や二級建築士の資格を持つため、マンション耐震性など、構造に関する診断をしてもらうこともできます。
このように、不動産取引に関連した専門家はたくさんいるので、自宅の売却時にトラブルが発生したら、売主は専門家に相談することで問題を早期解決しやすくなります。
ところが、売主が専門家に相談すると費用がかかります。
ご紹介した5つの専門家は全て「報酬金額が自由化」されていて、専門家や相談内容によって料金が全く違うので要注意。
しかし、売主に裁判になりそうなほど深刻な問題が発生した場合は、信頼性が高く報酬金額が安い専門家を探して、できるだけ早く専門家に相談するようにしましょう。
なお、自宅の売却活動に関する売主のちょっとした不安や疑問については「無料相談」ができる公共機関や業界団体の相談窓口の活用が便利です。
売主が困った時に無料で利用できる相談窓口
はじめて自宅を売却する売主は、売却活動でわからないことが多いので、不安や疑問を感じてしまいがち。
しかし、些細な不安や疑問であっても、売主がそのままの状態で売却活動を行うと、誤解や勘違い、思い込みの原因となり、トラブルが発生しやすくなります。
ですから、売主が少しでも疑問や不安を感じたら「無料相談窓口」なども利用して、なるべく早く解決しておきましょう。
売主が困った時に無料で利用できる主な相談窓口
- 「どこに相談したらよいかわからない」場合の相談窓口
- 「不動産取引に関する不安や疑問を相談したい」場合の相談窓口
- 「法律や契約」に関する相談窓口
- 「登記」に関する相談窓口
- 「税金」や「確定申告」に関する相談窓口
- 「不動産会社」に関する相談窓口
- 「不動産会社にお金を返して貰いたい」場合の相談窓口
- 「リフォーム業者」や「住宅」に関する相談窓口
それでは、誰でも気軽に利用できる無料相談窓口を、相談内容ごとに見てみましょう。
「どこに相談したらよいかわからない」場合の相談窓口
売主が「どこに相談して良いかがわからない」と困った場合、まずは、独立行政法人 国民生活センターが運営する「消費生活センター」に問い合わせることをおすすめします。
消費生活センターでは、主に業者に関するトラブル全般の相談ができるので、幅広い内容の相談が可能。
不動産取引やリフォーム、ハウスクリーニング、引越しなど、自宅売却で利用した業者に関する困り事は何でも相談できます。
なお、全国には消費生活センターが780ヶ所以上もあり、ほとんどの市区町村に消費生活相談窓口が設置されています。
もしも、地元の消費生活センターや相談窓口がわからない場合は、全国共通3桁の電話番号「188(いやや!)」での電話案内が便利です。
消費者ホットライン「188(いやや!)」

局番なしで「188」に電話。音声ガイダンスに従って操作すると、最寄りの消費生活相談窓口に電話をつないでもらえるので、すぐに相談することができます。
ただし「188」は音声ガイダンスの間は通話料がかかりませんが、相談窓口に電話がつながった時点で、相談料は無料ですが「通話料金」が発生するので要注意。
相談窓口に電話をつなぐ前には「電話料金のアナウンス」が流れるので、金額を聞き逃さないようにしましょう。
また、最寄りの窓口の受付時間外に「188」を利用した場合は「窓口の名称、電話番号、受付時間」のアナウンスのみの案内となり、通話料金もかかりません。
なお、全国の消費生活センターや消費者ホットライン「188(いやや!)」についての詳細は、下記のURLを参考にしてください。
参考元:独立行政法人 国民生活センター
「不動産取引に関する不安や疑問を相談したい」場合の相談窓口
はじめて自宅を売却する売主は、売買契約の解除や手付金、不動産仲介手数料など、不動産取引に関して不安や疑問に思うことがたくさんあります。
そんな時には、不動産会社が加盟している業界団体の無料相談窓口の利用が便利です。
不動産流通業界には4つの業界団体があり、不動産会社は4つの団体のいずれかに加盟しているのが一般的。
ですから、売主が加盟している団体の相談窓口を利用すると、不動産取引に関する相談や疑問だけでなく、不動産会社に関する苦情なども相談することができます。
ただし、不動産会社に対して厳罰を求めるような相談には適さないので要注意。
なお、不動産会社がどの業界団体に加盟しているかは、不動産広告をみればわかります。
不動産会社名の近くに加盟団体名が記載されていますので確認してみてください。
それでは、売主が4つの業界団体に相談する場合の連絡先をご紹介します。
公益社団法人 全国宅地建物取引協会連合会
全国宅地建物取引連合会は、不動産会社の約80%が加入している国内最大の業界団体です。
加盟業者に対する苦情から、疑問や質問まで何でも相談できる「不動産無料相談所」があるので、下記URLで地元の不動産無料相談所に電話で問い合わせてみてください。
公益社団法人 全日本不動産協会
全日本不動産協会は、昭和27年に設立された業界最古の不動産業界団体。
上記の「全国宅地建物取引協会連合会」に加盟していない中小規模の不動産会社のほとんどが加盟しています。
売主が相談する場合は「地方本部検索ページ」から、各地方本部HPに飛ぶことができるので最寄りの連絡先がわかります。
一般財団法人不動産流通経営協会
参考元:一般財団法人不動産流通経営協会
不動産流通経営協会は、大手不動産会社が主に加盟している団体です。
相談窓口は特に設けられていませんが、売主が問い合わせる場合は、下記の電話番号を利用してください。
03-5733-2271
9:00 ~17:00(土日祝祭日を除く)
一般社団法人 全国住宅産業協会
参考元:一般社団法人 全国住宅産業協会
全国住宅産業協会は中堅企業を中心に全国1,500社が加盟している団体。
HPでは空き家問題のWeb相談を行っています。
相談窓口は特に設けられていませんが、売主が問い合わせる場合は、下記の電話番号を利用してください。
03-3511-0611
9:00 ~17:00(土日祝祭日を除く)
「法律や契約」に関する相談窓口
不動産の権利関係や売買契約など、売主が法律や契約に関する相談をしたい場合は「法テラス(日本司法支援センター)」が便利です。
法テラス(正式名称:日本司法支援センター)は、平成18年4月10日に法務省の所轄で設立された国の法的支援機関。
法律や契約に関する困り事に関して「どんな解決方法があるのか」、「どこに相談したら良いのか」などについて教えてもらえます。
また、収入が低くて弁護士費用が払えない人を対象に「弁護士費用の立替え制度」もあるので安心。
ですから、弁護士を利用せずに自力でトラブルの解決を目指したい人や経済的な理由で弁護士を利用できない人は、法テラスに問い合わせてみてください。
参考元:日本司法支援センター「法テラス」
「登記」に関する相談窓口
登記手続きは法務局に出向いて自分で申請することもできますが、司法書士に依頼して手続きを行うのが一般的。
そのため、不動産登記や売買、贈与、相続、権利書の紛失などの相談は「日本司法書士会連合会」の相談センターの利用が便利です。
引用元:日本司法書士会連合会HP
ただし、相談方法や受付時間は相談センターによって違います。
ですから、まずは地元の「司法書士総合相談センター」に電話で問い合わせることをおすすめします。
なお、地元の相談センターの連絡先は「日本司法書士会連合会」のHPから検索できます。
参考元:日本司法書士会連合会HP
すぐに相談窓口を検索したい人はコチラから
参考元:日本司法書士会連合会-総合相談センター一覧
「税金」や「確定申告」に関する相談窓口
売主が税金や確定申告でわからないことがあれば、最寄りの税務署に相談することができます。
「譲渡所得税」など、自宅の売却にかかる税金のことや確定申告書の書き方も相談可能。
国税庁のHPで全国の税務署に設置されている相談窓口の電話番号が検索できるので、所轄の税務署を検索して電話で問い合わせてみてください。
参考元:国税庁 「税についての相談窓口」
「不動産会社」に関する相談窓口
不動産会社に対しての苦情や相談は「消費生活センター」だけでなく、会社が所属している業界団体に相談することもできます。
ただし、不動産会社が所属する業界団体に相談しても、厳しい処罰などは期待できません。
そのため、不動産会社が宅地建物取引業法などの法律に違反しており、売主が処罰を求めたいと思うような場合は、下記にご紹介する行政機関での相談をおすすめします。
相談先は、不動産会社の営業免許の種類によって違うので要注意。
宅地建物取引業者(不動産会社)は、事務所の所在地により「国土交通大臣免許」もしくは「各都道府県の知事免許」を受けて営業しています。
そして、問題のある不動産会社が「大臣免許」を受けている場合、不動産会社の本店所在地を管轄している「地方整備局」(全国10ヶ所)で相談できます。
また、問題のある不動産会社が「知事免許」の場合は、各都道府県の宅地建物取引業者を所轄する部署(建設部、土木部、住宅課など)で相談してください。
参考元:国土交通省 宅地建物取引業免許(知事免許)に関する窓口一覧
「不動産会社にお金を返して貰いたい」場合の相談窓口
不動産の売買取引で、不動産会社から返金されるべきお金が返金されない場合は、会社が加入している「保証協会」に相談しましょう。
不動産業界では、消費者保護のための保証制度が設けられており、不動産会社は「保証協会」への加入が義務付けられています。
そのため、不動産仲介手数料の返金や損害賠償など、不動産会社と売主間のお金に関するトラブルを相談したいときは、保証協会へ相談してみてください。
ただし、不動産会社が加入する保証協会は2つあるので、売主は加盟している協会を調べなければなりません。
不動産会社の店舗には、加盟している協会のシンボルマークが必ず表示されています。
2つの保証協会の見分け方は「シンボルマーク」の動物(ハト・ウサギ)の違い。
シンボルマークが「ハト」か「ウサギ」かで、不動産会社がどちらの協会に加盟しているかがわかります。
ハトのマーク

ハトのマークが店舗に表示されている不動産会社は「全国宅地建物取引保証協会」(通称:全宅)に加盟しています。
売主が相談する場合は、下記のURLから各都道府県に設置されている相談窓口を検索して「不動産無料相談所TEL」に連絡してください。
ウサギのマーク

ウサギのマークが店舗に表示されている不動産会社は「不動産保証協会/全日本不動産協会」(通称:全日)に加盟しています。
*不動産保証協会は全日本不動産協会を母体としている不動産業界団体。
売主が相談する場合は、全日本不動産協会の各都道府県の本部検索から、地方本部HPに飛ぶことができるので連絡先を調べてみてください。
「リフォーム業者」や「住宅」に関する相談窓口
売主がリフォーム業者や住宅に関する相談をしたい場合は「公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター」の電話相談(住まいるダイヤル)が便利です。

リフォーム業者や住宅関連の事であれば、何でも相談できます。
そのため、業者に関するトラブルの相談だけでなく、自宅の売却時にリフォームを検討している売主が効果的な工事を行うためのアドバイスをもらうことも可能。
なお、住宅リフォーム・紛争処理支援センターでは、電話での無料相談だけでなく、建築士や弁護士などによる「専門家相談」も行っています。
ただし、専門家による相談は「利用条件」があり、有料での相談になる場合もあるので要注意。
詳細については、下記URLの「専門家相談」を参考にしてください。
参考URL:公益財団法人-住宅リフォーム・紛争処理支援センター
このように、売主が不安や疑問を感じた時に、気軽に利用できる無料相談窓口はたくさんあります。
しかし、信頼性が高く親切な不動産会社に仲介を依頼していれば、売主が不安や疑問を感じたり、深刻な問題が発生することはほとんどないのです。
売主が安心して自宅の売却を行うには不動産会社選びが大切。
基本的に、売主の疑問や質問には、売却を依頼している不動産会社の担当者が全て答えます。
しかし、不動産会社の営業社員は、それぞれ売却実績や不動産知識に個人差があります。
そのため、売主が知名度の高い大手不動産会社に売却を依頼していても、担当者との間にトラブルが発生したり、売却活動に不安や疑問を覚えることもあるのです。
ですから、自宅を売却する時には売主の不動産会社選びはとても重要。
売主は会社の規模に関わらず、親切で信頼感があり、何でも相談できる不動産会社(担当者)を選ばなければなりません。
そうすれば、売主に不動産に関する法律や税金、登記など、売主に専門知識がなくても、担当者がアドバイスしてくれるので、スムーズに売却活動を行うことができます。
また、不動産会社の担当者と売主の間に信頼関係があれば、売主と担当者との間にトラブルが発生することもほとんどありません。
それでも、いざという時のために、売主は上記でご紹介した専門家や無料相談窓口の存在を知っておくと、より安心して売却活動を行うことができるのです。
おすすめの一括査定サイト『 HOME4U 』
「HOME4U」は不動産一括査定サイトのなかで、最も知名度の高いサイトです。
NTTグループが運営しているので、個人情報管理の信頼度が高く、安心・安全に利用できます。
また、厳選された全国約900社の優良企業の中から、自宅の売却に適した会社を紹介してもらえるので、売却を依頼する不動産会社がみつかりやすいのも人気の理由です。
おすすめの一括査定サイト『 マンションナビ 』
「マンションナビ」は分譲マンションの売却専門の不動産一括査定サイトです。
マンションの売却を得意とする不動産会社を紹介してもらえるので、中古マンションを売りたい人におすすめ。
また、売却だけでなく業者買取りや賃貸運用の査定も受けられるので、自宅を売るかどうかで迷っている人も利用しやすいサイトです。