認知症の親の代わりにマンションを売却するには?成年後見制度の手続き方法

認知症の親の代わりにマンションを売却するには?成年後見制度の手続き方法

親が認知症となり、自宅では十分なケアができない場合、有料老人ホームなどの介護施設に入居させることも検討しなければなりません。

ただし、介護施設を利用するには「入居一時金」や「月額使用料」など、ある程度まとまった介護資金の準備が必要。

ですから、子供が「親名義のマンション(実家)」を売却して、親の介護費用を捻出する場合もあります。

なお、親名義の不動産は「親の同意」があれば、子供でも売却が可能です。
ところが、親が認知症の場合「賛成・反対」の判断や意思表示ができません。

このように、判断能力が十分でない親の代わりに「親名義の家」を売却したいときは「成年後見制度」の適用となります。

しかし「成年後見制度」がどのような制度なのか、一般的にはあまり知られていません。

そこで、このページでは「成年後見制度」について詳しくご紹介します。

成年後見制度とは

「成年後見制度」とは、判断能力が十分でない人に「援助する人(成年後見人)」をつけて、契約や手続きができないことで不利益にならないようにする制度です。

「成年後見制度」の歴史はまだ浅く、2000年(平成12年)4月1日に誕生した「介護保険制度」と同時に実施。

ところが当時、世間の関心は、40歳以上の人に保険料の支払い義務が生じる「介護保険制度」に集中しました。

そのため「成年後見制度」は、介護保険制度の陰に隠れることとなり、現在でもこの制度の存在すら知らない人も多いのです。

成年後見人の選び方には種類があります。

なお、認知症の親を援助する人の選び方には、家庭裁判所が選ぶ「法定後見人」と、本人があらかじめ選んでおく「任意後見人」の2種類あります。

「法定後見人」は、本人の「判断能力が十分でなくなった状態」で後見人を選ぶ方法。
親族が家庭裁判所に申し立てを行い、裁判所に適任者を選んでもらいます。

一方「任意後見人」は「判断能力が十分ある状態」のうちに、本人が将来のために自分で後見人を選んでおく方法です。

具体的には「将来、判断能力が不足した時には代理権を与える」という「任意後見契約」を本人が選んだ後見人と結び、契約の内容を公正証書で残します。

具体的には「将来、判断能力が不足した時には代理権を与える」という「任意後見契約」を本人が選んだ後見人と結び、契約の内容を公正証書で残します。

本人が選んだ「任意後見人」の場合でも裁判所が監視や監督を行います。

ただし、本人が選んだ「任意後見人」であっても、実際に代理行為を行うときは、家庭裁判所に「任意後見監督人」の申し立てが必要になります。

「任意後見監督人」とは、文字のとおり「任意後見人を監督する人」。

たとえ、本人が信頼できる人を「任意後見人」に選んでいても、必ずしも本人の利益のために代理を行うとは限りません。

そこで、家庭裁判所は「きちんと援助しているか」をチェックするため、任意後見人に「監督人」を選任。

家庭裁判所が選んだ「任意後見監督人」をつけなければ、任意後見人は「本人の援助(代理行為)」をすることができません。

また、任意後見人が「適任者ではない」と家庭裁判所が判断した場合は「法定後見人」が選任されることになります。

このように「成年後見制度」は、成年後見人を選ぶだけの制度ではありません。

後見人が勝手に本人の財産を処分するなどの不正を行わないように、家庭裁判所が成年後見人(代理人)の監視や監督も行います。

必ずしも子供が「成年後見人」に選ばれるとは限りません。

そして、家庭裁判所が成年後見人(法定後見人)を選任するときは、後見人候補者の人格や収入、財産に至るまで厳しい審査を行います。

そのため、必ずしも子供が成年後見人に選ばれるとは限りません。

なお、親族間に相続トラブルなどがあるときは、家庭裁判所が、弁護士や司法書士、社会福祉士など、親族以外の第三者を法定後見人に選任する場合もあります。

では、家庭裁判所はどのような方法で「法定後見人」を選ぶのでしょうか?

そこで「法定後見人」の手続きや選任方法について見てみましょう。

成年後見人の申し立てから選任までの流れ

家庭裁判所に「成年後見人」を選んでもらうときは、本人や配偶者、4親等内の親族の誰かが「申立人」になる必要があります。

4親等内の親族とは、本人の父母、祖父母、配偶者、兄弟姉妹、子供、孫、叔父母、いとこなどのことです。

4親等内の親族とは、本人の父母、祖父母、配偶者、兄弟姉妹、子供、孫、叔父母、いとこなどのことです。引用元:丸亀市社会福祉協議会-四親等の親族図

そして、親族の話し合いで申立人が決まったら、本人の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てを行います。

成年後見人が選出されるまでの主な手続きの流れ

家庭裁判所に成年後見制度の申し立てを行ってから、成年後見人が選出されるまでには、主に5つの手続きがあります。

  • ①家庭裁判所に成年後見制度の申し立て
  • ②家庭裁判所の調査官による調査
  • ③精神鑑定
  • ④審判
  • ⑤告知・通知・登記

それでは、成年後見人が選出されるまでの5つの手続きの流れを、順番に詳しく見てみましょう。

1、家庭裁判所に成年後見制度の申し立て

申立人は、家庭裁判所に必要書類を提出して申し立てを行います。

申し立てに必要な主な書類

  • 申立書、申立書附票
  • 親族関係図
  • 後見人候補者身上書(候補者が親族の場合)
  • 申立人の戸籍謄本(本人以外が申し立てる場合)
  • 本人分の戸籍謄本、戸籍の附票、住民票、登記事項証明書、診断書各1通
  • 成年後見人候補者の戸籍謄本、住民票、身分証明書、登記事項証明書 各1通
  • 本人の財産目録及び収支予定表 など

*成年後見制度の申し立ては、申請内容によって必要書類が異なるので、必ず事前に直轄の家庭裁判所に確認してください。

申し立てに必要な主な費用

  • 成年後見人制度開始の申し立て 800円(収入印紙)
  • 審査結果を登記するための登記手数料 2600円(収入印紙)
  • 郵便切手 4000円分(裁判所によって価格が異なります。)
  • 精神鑑定費用 約6万円~10万円 (費用は裁判所から連絡があります。)

*病院で診断書を作成してもらったり、家庭裁判所への申し立てを弁護士や司法書士に依頼したときは、上記の他にも費用がかかります。

申し立てに必要な書類は、各家庭裁判所のウェブサイトから入手できます。

なお、成年後見制度の申し立てを行う場合、直轄の家庭裁判所のウェブサイトから「申し立てに必要な書類」や「提出書類や費用のチェックリスト」を入手できます。

提出書類や費用のチェックリスト引用元: 裁判所ウェブサイト

ただし、各家庭裁判所によって書式が異なる場合もあります。

そのため、書類を入手する場合は、必ず「直轄の家庭裁判所のサイト」から入手するようにしましょう。

なお、管轄の家庭裁判所は、下記URLで調べることができます。
同じ都道府県内でも、市町村によって管轄が異なる場合もあるので必ず確認してください。

参考元:裁判所ウェブサイト「裁判所の管轄区域」

2、家庭裁判所の調査官による調査

申し立てが受理されると「本人」、「申立人」、「成年後見人の候補者」が家庭裁判所に呼ばれ、それぞれの経歴や申し立て理由などの面接が行われます。

また、その他の親族にも、事実関係や親族間のトラブルの有無、後見人候補者の人柄などについての調査がある場合もあります。

調査官による主な調査内容

本人に関する調査

  • 本人の判断能力や病歴
  • 本人の生活状況、家庭状況、親族や申立人との関係性
  • 本人の財産管理状態
  • 申し立てについて、本人の意思確認
  • 後見人候補者について、本人の意思確認 など

成年後見人候補者に関する調査

  • 後見人候補者の職業や経歴
  • 本人と成年後見人との利害関係等
  • 代理任務に対する意思確認 など

3、精神鑑定

精神鑑定は、診断書等で本人の判断能力が判定できるときは省略されることもあります。
しかし、必要と判断された場合は専門医による鑑定が行われます。

4、審判

家庭裁判所は提出された書類や調査官による調査の結果から、後見人の必要性の有無や、誰を成年後見人(法定後見人)にするかを判断します。

5、告知・通知・登記

家庭裁判所が成年後見人(法定後見人)を選出すると、決定内容を記載した「審判書」が申立人と選任された後見人に送付されます。

そして、審判に不服がなければ、審判書を受領してから2週間後に審判内容が確定。

審判が確定すると、家庭裁判所から東京法務局に審判の内容が通知されて「審判決定事項」の内容が登記されます。

なお、登記は東京法務局で行われますが「成年後見登記(審判決定事項)」の証明書は、全国どこの法務局でも発行手続きは可能。

この「成年後見登記」の証明書により、本人や契約の相手方に対して「成年後見人の権限」を示すことができます。

では、成年後見人に選任されたら、どのような代理行為ができるのでしょうか?

成年後見人ができることとは?

成年後見人は本人の代理として、主に「財産管理」や「契約行為」などを行うことができるようになります。

  • 預金通帳の管理、金融機関での現金の出し入れ
  • 本人が所有する不動産の売買、賃貸借契約
  • 老人ホームや介護サービスの手続き
  • 年金の受給申請
  • 親族が亡くなった際の遺産分割協議への参加 など
成年後見人は本人の代理として、主に「財産管理」や「契約行為」などを行うことができるようになります。

そして、これらの代理行為は、あくまでも「本人の介護や生活のために行う場合」にのみ許可されます。

ところが、親の介護費用を捻出するために実家を売却したくても「売却が認められない」場合があるのです。

実家の売却には家庭裁判所の許可が必要です。

子供が「成年後見人」に選ばれても、親が住んでいた家を売却するときには、家庭裁判所に申し立てを行い「居住用不動産の処分許可」をもらう必要があります。

なぜなら、親がすでに介護施設で生活していても、将来的に自宅に戻る可能性がある場合、家を売却してしまうと戻る場所がなくなるからです。

また、子供が「親の介護のため」と嘘をついて、財産を手に入れる目的で実家を売却するかもしれません。

そのため、成年後見人が本人の自宅(実家)を売却したり、賃貸に出すときは、事前に家庭裁判所の許可が必要です。

必ずしも家庭裁判所の許可が下りるとは限りません。

なお、家庭裁判所が審査した結果、自宅(実家)の売却が「本人の不利益になる」と判断された場合、売却は許可されません。

しかし、裁判所の許可が下りなかったからといって、成年後見人が実家を勝手に売却すると大変なことになるので要注意。

もしも、勝手に売却したことが発覚すると、成年後見人から外されるだけでなく、実家の売買契約も取り消されるので、買主から損害賠償を請求されるかもしれません。

また、悪質と判断された場合は「業務上横領」として刑事罰の対象にもなります。

では、家庭裁判所に許可を得て、成年後見人が実家を売却する場合「家庭裁判所に売却の許可を得る」以外に、通常の不動産売却方法との違いはあるのでしょうか?

そこで、成年後見制度を利用した場合の不動産売却の流れについて見てみましょう。

成年後見制度を利用して実家を売却する場合の手続きの流れ

成年後見制度を利用して、子供が成年後見人となり親名義の実家を売る場合、通常の売却活動にはない契約や手続きが発生します。

そして、実家を売却するためには主に5つの手続きが必要です。

  • ①不動産会社と媒介契約を結ぶ。
    通常の不動産売却と同じように、不動産会社と媒介契約(仲介契約)を結びます。
    ただし「成年後見制度を利用した売却」であることを、不動産会社に告知しなければなりません。
  • ②家庭裁判所に実家の売却を相談する。
    成年後見人が親名義の実家を売却するときは、家庭裁判所の許可が必要です。
    そのため、家庭裁判所に実家を売却することを、事前に報告して相談しておく必要があります。
  • ③停止条件付売買契約を結ぶ。
    成年後見人制度を利用している場合「停止条件付売買契約」という特約付きで買主と売買契約を結びます。

    「停止条件付売買契約」とは、売買契約の効力に一定の条件を付けた契約。
    具体的には「家庭裁判所の売却許可が下りなければ契約は成立しない」という条件での売買契約となります。
  • ④家庭裁判所に売却許可を申し立てる。
    売買契約の準備が整ったら、家庭裁判所に「居住用不動産の処分許可」を申し立てます。

    なお、裁判所に申し立てを行う時には「売却の必要性」や「売却代金が本人の生活費や療養介護費であること」、「売却に親族の反対がないこと」などの証明が必要です。

    そして、申し立てに問題がなければ、申立て後約1か月程度で家庭裁判所から売却許可が下ります。
  • ⑤決済日(所有権移転登記を行う。)
    決済日には、残代金の精算の後、実家の名義を買主に変更する「所有権移転登記」を行います。

    なお、登記を行う時には、通常の登記申請書類の他に、家庭裁判所の「売却許可審判書」が必要になります。

このように、成年後見制度を利用した場合は、通常の不動産売却にはない「契約時の特約」や「裁判所への許可申し立て」などの手続きが必要になります。

成年後見制度を利用して実家を売却する場合の注意点

そして、成年後見制度を利用する場合、最も注意しなければならないことがあります。

それは、成年後見制度を利用すると、通常の不動産売却よりも「売却に時間がかかる」ということです。

とくに「成年後見人」が決まっていない状態で実家を売る場合、かなりの日数がかかります。

売却までに6ヶ月以上かかることもあります。

先にもご紹介していますが、家庭裁判所が選任する「法定後見人」の申し立てを行うと、調査官による調査があり、書類審査や面接、精神鑑定が行われる場合もあります。

そのため、成年後見人の選出には、裁判所の申し出から「2~5ヶ月程度」かかるのが一般的。

そして、法定後見人が選ばれた後、実家の売却活動を開始したとしても、すぐに購入希望者が見つかるとは限りません。

売却物件によっては、購入希望者が見つかるまでに数カ月かかる場合もあります。

また、購入希望者が無事に見つかっても、売買契約を実行するためには、再度、家庭裁判所に「居住用不動産の処分許可」の申し立てが必要。

通常、家庭裁判所から売却許可が下りるまでには「1ヶ月程度」かかります。

ですから、成年後見制度を利用すると、実家を売却までに6ヶ月以上かかることもあり、早急に実家を現金化したい場合は注意しなければなりません。

成年後見制度を利用すると、実家を売却までに6ヶ月以上かかることもあり、早急に実家を現金化したい場合は注意しなければなりません。

親名義の不動産があれば「成年後見制度」の知識を持っておきましょう。

親名義の実家を売却するために「成年後見制度」を利用する人の多くは、親の介護のためにお金が必要な状態。

しかし、成年後見制度を利用すると、すぐには自宅を現金化することはできません。

そのため「入居費用が用意できず希望していた老人ホームに申込みができない」、「費用が不足して十分な介護ができない」などの不具合が起こる可能性もあります。

ですから、親名義の不動産がある人は、ご両親が元気に暮らしていても、もしもの時に備えて「成年後見制度」についての知識を持っておくことが大切。

「成年後見制度」をよく理解していなかったために、実家の売却手続きが遅れて、親に十分な介護ができないということにならないようにしましょう。

なお、成年後見制度について、より詳しく知りたい人は、下記URLで最高裁判所が発行している「成年後見制度」のパンフレットを参考にしてください。

参考URL:裁判所ウェブサイト-「成年後見制度」(平成29年10月版)

「成年後見制度」の売却実績がある不動産会社を選んでおくと安心です。

そして、実際に実家の売却を予定している人は「成年後見制度」に詳しい不動産会社に売却を依頼しましょう。

成年後見制度を利用して実家を売却する場合「家庭裁判所の売却許可が下りなければ契約は成立しない」という停止条件付売買契約を結ぶ必要があります。

そのため、売買契約を結んでも、家庭裁判所の売却許可が下りるまでの間(1か月程度)、買主には物件の引き渡しを待ってもらわなければなりません。

ですから、売買契約が不利にならないように「成年後見制度」での売却実績がある不動産会社を選んでおくと、買主に上手く交渉してくれるので安心。

また、家庭裁判所への売却許可の申し立てなど、わからないことがあれば担当者に相談できるのでスムーズに実家を売却しやすくなります。

「成年後見制度」での不動産会社探しは「一括査定サイト」が便利です。

しかし「成年後見制度」の売却実績がある不動産会社を自分で探すのは大変な作業。

そこで、不動産会社の候補がない人には、インターネットの「不動産一括査定サイト」の利用をおすすめします。

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また、訪問査定を依頼すると、不動産会社の社員が実家を見に来るので、直接、担当者に成年後見制度の売却実績について確認することも可能。

このように、不動産一括査定サイトを利用すると、自分で探すよりも「成年後見制度」の売却実績がある不動産会社を見つけやすいです。

そして「成年後見制度」での不動産売却は、通常よりも売却に時間がかかります。

ですから、不動産会社を選ぶときは「成年後見制度」での売却実績だけでなく、売主の事情を考慮して早期に実家を売却する努力をしてくれる担当者を選ぶようにしましょう。

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