2020年以降のマンション売却には要注意!民法改正による5つの変更点

2020年以降のマンション売却には要注意!民法改正による5つの変更点

テレビや新聞などの報道で、2017年5月26日に、国会で民法改正の改正法案が可決・成立して、同6月2日に公布されたことをご存知の方も多いと思います。

民法は、売買契約や権利関係、請求権など、不動産の売買取引にも大きく関係する法律。

ですから、改正後の民法(改正民法)が実施されると、不動産業界の法律である宅地建物取引業法(宅建法)も一部改正となり、不動産契約書の条文が変わります。

通常、法律が改正されると「公布から3年以内」に施行。

そのため、改正民法の実施が予想される2020年以降に自宅の売却を予定している人は、現在の不動産取引とは契約条件が変わるので注意しなければなりません。

そこで、民法の改正の変更点や2020年以降に中古マンションを売却する際の注意ポイントについてご紹介します。

はじめに、民法がなぜ改正されたのか、改正の概要から見てみましょう。

民法の概要と改正の理由

民法は、憲法や商法、刑法など、日本の主要な法律である「6法」のうちの1つ。

そのなかでも民法は、日常生活に深く関わる法律で「社会生活のルール」という役割もあります。

そのため、民法の内容はとても細かく、6法のなかで最も多い1044条もあるのです。

そこで、民法の構成内容を簡単にまとめてご紹介します。

民法の構成

民法は「総則、物件、債権、親族、相続」の5つの分野で構成されていて、その内容から「財産法」と「家族法」の2つに区分することができます。

民法は「総則、物件、債権、親族、相続」の5つの分野で構成されていて、その内容から「財産法」と「家族法」の2つに区分することができます。
第1編 「総則法」
民法全体に関わる一般規定が定められています。

第2編 「物権法」
所有権や占有権、質権、抵当権など、物を支配して利益を受けることを第三者に示すことができる支配権(10種類)について定めています。

第3編 「債権法」
贈与や売買、賃貸借、交換、和解など、代表的な13種類の契約についての内容に制限を設けています。

第4編 「親族法」
親族の範囲や婚姻、養子、親権などの血縁関係、扶養、後見人などについて定めています。

第5編 「相続法」
相続人の範囲や相続の効力、相続放棄、遺言、遺留分など、主に相続に関する内容を定めています

このように、民法は、社会生活で重要となる「財産」や「家族関係」について定めた法律。

ところが、現在の民法は、明治29年4月27日に制定されて以来、これまで大きな改正は1度も行われていませんでした。

そのため、現在の経済活動や日常生活のルールに現行の民法が適さなくなり、トラブルの原因になっていることから、約120年ぶりに民法の一部が改正されたのです。

では今回、民法の改正で何が変わるのでしょうか?

2020年以降の売却時に注意すべき民法改正による5つの変更点

今回の民法改正では、主に民法のなかでも第3編「債権法」に関する部分が改正されます。

「債権法」は、売買契約や賃貸借契約、請負契約など、13種類の契約に関係する法律。

そのため、不動産取引においても、売買契約書の契約条項が改変されるので、自宅の売却を予定している売主は、条文の変更点についてあらかじめ知っておく必要があります。

とくに今回の改正では、売主にとって重要項目となる「物件不具合(瑕疵)の条件」や「売主の物件責任(瑕疵担保責任)」に関連する項目が大幅に変更。

そこで、民法の改正内容のうち、自宅を売却する時に重要ポイントとなる変更点を5つご紹介します。

民法の改正により売主が注意すべき5つの変更点

1、「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」という名称に変わる。
2、「隠れた瑕疵」という考え方がなくなる。
3、契約不適合責任に対して4つの請求権が買主に認められる。
4、売主が「瑕疵担保責任を負わない」という特約ができなくなる。
5、売主の責任追及期間が長くなる。

それでは、5つの変更点をそれぞれ詳しく見てみましょう。

「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」という名称に変わる。

瑕疵(かし)とは「欠点や欠陥、不具合」という意味の法律用語。
ですから、不動産売買契約書でも、売却物件の故障や不具合のことを総称して「瑕疵」と表記しています。

ところが、現行民法(570条)で定められた「瑕疵」には定義規定がありません。

そのため、不動産の売買取引でも、瑕疵(物件不具合)の範囲が曖昧なので、売却後に発覚した故障の責任をめぐって、売主と買主の間でトラブルが多く発生しているのです。

そこで、今回の民法改正では、曖昧な表現だった「瑕疵」から「契約不適合」に名称を変更。

それに伴い、売却後の瑕疵に対する売主の補修責任を示す「瑕疵担保責任」も、民法改正後は「契約不適合責任」に変わります。

それに伴い、売却後の瑕疵に対する売主の補修責任を示す「瑕疵担保責任」も、民法改正後は「契約不適合責任」に変わります。

*ただし「瑕疵」の表現がなくなるのはあくまでも民法上のこと。

「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(品格法)など、他の法律では「瑕疵」という用語は民法改正後も使用されます。

「隠れた瑕疵」という考え方がなくなる。

そして「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」へ変わるのは名称だけではありません。
売主の物件責任も変更になるので要注意。

現行民法の「瑕疵担保責任」では「隠れた瑕疵」のみ売主が責任を負うことになっていました。

「隠れた瑕疵」の「隠れた」とは「買主の善意無過失」のこと。

そのため、買主が売買契約時に物件の不具合を知ることができる状態だったり、不具合の存在を最初から知っていた場合、売主は物件の補修責任を負う義務はありませんでした。

ところが、今回の民法改正で「隠れた瑕疵」という表現がなくなり「契約不適合」になると、民法上、売主は全ての不具合に対して責任を負わなければならなくなるのです。

ところが、今回の民法改正で「隠れた瑕疵」という表現がなくなり「契約不適合」になると、民法上、売主は全ての不具合に対して責任を負わなければならなくなるのです。

また、売主の「契約不適合責任」に対して、改正民法では、買主の請求権も拡大されます。

契約不適合責任に対して4つの請求権が買主に認められる。

これまでの民法では、欠陥商品に対して買主が売主に請求できるのは「契約の解除」と「損害賠償請求」の2つだけでした。

しかし、民法改正後は、売買契約物が「契約不適合品」の場合、売主に対して買主には4つの請求権が認められるようになります。

①損害賠償請求

損害賠償請求権は、現行の民法でも損害賠償請求は認められています。

契約の目的が達成できない場合、一定期間の催告後、期間内に実行されなければ損害賠償請求することができます。(改正民法564条)

②契約の解除

買主の契約解除権は、現行の民法でも契約の解除は認められています。

契約の目的が達成できない場合、一定期間の催告後、期間内に実行されなければ契約を解除できます。(改正民法564条)

③追完請求(目的物の補修、代替物の引き渡し、不足分の引き渡し)

追完請求権は今回の民法改正で新たに加わる項目です。

引き渡された物件が契約の内容に適合していないときは、買主は売主に対して、目的物の補修請求や代替物の引き渡し、不足分の引き渡しなどの「追完請求権」が認められます。(改正民法562条1項)

ただし、買主の責任で契約不適合品になった場合は請求することができません。

④代金減額請求権

現在の民法では「数量の不足」に対しての減額請求権が認められていますが、目的物が契約内容に適合していないという理由での減額請求は認められていませんでした。

そのため、今回の民法改正では、買主が購入した物件が契約に適合しない場合にも減額請求が認められるようになります。(改正民法563条1項、2項)

なお「追完請求権」や「代金請求権」は、難しそうな名称ですが、すでに日常では慣例的に行われていることです。

購入品が壊れているから補修して貰うのは「追完請求権」。

購入品が壊れているから補修して貰うのは「追完請求権」。
そして、契約と違う物(不具合品)が引き渡された際、不具合に対して値引きを求めるのは「代金減額請求権」。

そして、契約と違う物(不具合品)が引き渡された際、不具合に対して値引きを求めるのは「代金減額請求権」。

しかし、これまで「追完請求権」や「代金減額請求権」は、現行民法では条文化されていませんでした。

そこで今回の改正では、上記2つの請求権が追加となり、契約不適合品に対する買主の4つの請求権が公に認められるようになったのです。

売主が「物件の補修責任を負わない」という特約ができなくなる。

ただし、買主の「追完請求権」が条文化されることで、不動産売買契約では、売主の物件責任が重くなるので要注意。

なぜなら、民法が改正されると、解釈上では「売主は物件の補修責任を負わない」という特約が結べなくなるからです。

物件に不具合(契約不適合箇所)があれば、買主は売主に対して「目的物の補修」や「代替物の引き渡し」、「不足分の引き渡し」などの「追完請求権」が認められます。

そのため、買主の請求に対して「売主は補修責任を負わない」とは主張できなくなり、売主は民法上では、物件に対する補修責任を負う必要があるのです。

そのため、買主の請求に対して「売主は補修責任を負わない」とは主張できなくなり、売主は民法上では、物件に対する補修責任を負う必要があるのです。

売主の責任追及期間が長くなる

また、現行の民法では、物件の不具合が原因で契約の解除や損害賠償請求を行う場合「買主が事実を知った時から1年以内」に行う「期間制限」がありました。

ところが、民法改正後は、買主が契約不適合を知った時から1年以内に「通知するだけ」で良くなりました。(改正民法566条)

つまり、買主は事実判明から1年以内に売主に通知さえしておけば、買主は契約解除や損害賠償の請求を1年以内に行う必要はありません。

そのため、民法上では「買主が契約不適合を知ってから5年間の消滅時効が終了するまで」の間、売主が物件責任を追求される可能性もあるのです。

ただし、買主も「不適合の事実を知って1年以内」に売主に通知しなければ、請求権を行使できなくなるため、民法の改正により買主が失権しやすくなったという意見もあります。

ただし、買主も「不適合の事実を知って1年以内」に売主に通知しなければ、請求権を行使できなくなるため、民法の改正により買主が失権しやすくなったという意見もあります。

ここまで、売主が気をつけるべき民法改正の5つの変更点を見てきました。

それでは、実際に自宅マンションを売却する場合、売主はどのような点に気をつけなければならないのでしょうか?

民法改正後に自宅を売却する売主が気をつけるべき4つのポイント

今回の民法改正により「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」へと名称が変わると、買主の請求権が拡大されるため、基本的に売主の物件責任が重くなります。

そこで、実際に自宅マンションを売却する際に売主が気をつけるべきポイントを4つご紹介します。

自宅を売り出す前に室内の補修は済ませておきましょう。

改正民法では、買主に物件の補修請求ができる「追加請求権」や不具合に対する値引きを請求できる「代金減額請求権」が認められています。

そして「隠れた瑕疵」も売買契約書から削除されるため、売主は基本的に全ての故障や不具合に対する「契約不適合責任」を負わなければなりません。

そのため、自宅を売却する時は、売却後の補修責任トラブルを予防するために、室内の補修を事前に済ませておくことをおすすめします。

不具合がある物件を売却すると、民法改正後は、買主の追完請求により補修請求もしくは代金減額請求を受ける可能性が高くなります。

また、買主から物件の不具合を指摘されてから売主が補修を行うと「補修の工事期間」や「仕上がり具合」が新たなトラブル原因になることもあるのです。

物件引き渡しは、売主と買主が立ち会い「契約適合状態」を確認

現行民法の不動産売買では、買主との物件トラブルを防ぐために、売買契約書に、物件や室内の状況を記載した「告知書(付帯設備及び物件状況確認書)」を添付します。

これは「隠れた瑕疵」にのみ売主が補修責任を負うため、売買契約書に室内状況を記した書類を添付して「隠れた瑕疵」を予防する目的があります。

ところが、改正民法では「隠れた瑕疵」という考え方がなくなり、全ての瑕疵に対して売主が責任を負わなければなりません。

そのため、民法改正後は、物件が「契約適合状態」であることを売買契約時に買主に認めてもらうことが大事。

そこで、自宅を買主に引き渡す時には、売主と買主が立ち会い、室内設備を1つずつ状態確認して、買主に「契約適合状態」であることを納得してもらいましょう。

とくに、そのままの状態で売却する「現況有姿」の場合、現在の売買取引でも補修トラブルが多く発生しているので、民法改正後も十分に注意してください。

売主が有利になるように特約を設定

民法改正が行われると、売主の補修責任が重くなることが予想されますが、売買契約書に特約を設定することで売主の責任追及をある程度軽くすることができます。

民法で定められている規定はあくまでも「任意規定」。

任意規定とは、民法上の基本原則である「契約自由の原則」に基づいて、契約当事者間で合意があれば、特約を設定できるということ。

そのため、民法改正以後も、特約を設定することができれば、買主の権利行使の消滅時効である5年もの間、売主が補修責任を負うことはないのです。

ただし、特約は売買契約書に記載していなければ効力を発揮しません。

ですから、売主が特約を設定した時は、必ず売買契約書の特約条項を確認しましょう。

売却を依頼する不動産会社選びを慎重に行いましょう。

このように、売買契約書に特約をつけることができれば、売主は自宅の売却を有利にすることができます。

しかし、特約をつけるためには、買主の合意が必要です。

通常、不動産売買の条件交渉は、売主と買主が直接交渉するのではなく、不動産会社の担当者が仲介者となり双方の意見を調整します。

そのため、売主が不動産会社を選ぶときは、売主の味方となって上手に交渉してくれる担当者を選んでおかなければなりません。

つまり、売主の不動産会社を選びはとても重要。

売主が特約を設定して売却条件を有利にできるかどうかは、担当者の腕次第と言っても過言ではありません。

ですから、売主が不動産会社を選ぶときは、会社の規模や実績だけでなく、交渉能力が高くて信頼できる担当者かどうかも見極めましょう。

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