マンションの売却トラブルを予防!物件不具合(瑕疵)の種類と売主の責任

マンションの売却トラブルを予防!物件不具合(瑕疵)の種類と売主の責任

はじめて自宅マンションの売却を予定している売主なら誰でも、トラブルなくスムーズに自宅が売れることを願います。

しかし、実際に売却してみないと、どのようなトラブルが発生するかわかりません。

そのため、売主は不意なトラブルの発生を予防するために、あらかじめ「マンション売却で発生しがちなトラブル」について知っておくことが大切。

また、トラブルの原因になりそうな要因があれば、今のうちに対策を立てておくことも必要です。

そこで、売却時のトラブルの中でも売主がト原因を予想しやすく、予防策も講じやすい「物件トラブル」についてご紹介します。

マンション売却時に「物件トラブル」が発生しやすい原因や予防対策などを詳しく説明しますので売却時の参考にしてください。

このページをご利用にあたっての注意事項

2017年5月26日に、国会で民法(債権法)の改正法案が成立しました。(6月2日に公布)
そのため、3年以内(2020年)に「新しい内容の民法(改正民法)」が施行される予定です。

なお、このページでご紹介する「売主の物件責任」などの法律に関係する内容は「現行民法」に基づいているため「2020年までの売却」に有効であることをご了承ください。

それでは、中古マンションを売却する場合、どのようなトラブルが発生しやすいのでしょうか?

マンション売却で発生しやすい3種類のトラブル

中古マンションの売却は、取引の金額が大きいので「売主と買主」との間だけでなく「売主と不動産会社」との間でも、トラブルが発生する可能性があります。

そのなかでも発生しやすいトラブルは3種類。

1、手付金や中間金などの金銭授受で発生する「金銭トラブル」。
2、契約に付加する特約や契約解除で発生する「契約トラブル」。
3、室内設備の故障や傷など、物件の不具合に関する「物件トラブル」。

そして、この3種類のトラブルのうち、売主が最も注意すべきは「物件トラブル」。

なぜなら「金銭トラブル」や「契約トラブル」は、実際に金銭の授受や契約内容が確定しないと、トラブルの予測や予防は不可能。

しかし「物件トラブル」は、売主が実際に住んでいた家なので、トラブルになりそうな原因が予測しやすく、唯一、売主が事前に予防策を講じることができる項目なのです。

では、物件トラブルの主な原因となる、物件の故障や傷などの不具合に対して、売主はどこまで責任を負わなければならないのでしょうか?

自宅を売却した後も、売主には一定の物件責任があります。

不動産の売買取引において、売却物件の故障や傷、欠陥などの不具合は、法律用語で「瑕疵(かし)」と言います。

しかし「瑕疵」は法律用語でありながら、民法においての明確な定義はありません。
そのため、何が瑕疵で、何が瑕疵でないかの基準が曖昧なのです。

ところが、売却後に発覚した物件の不具合(瑕疵)に対して、売主には一定の責任(瑕疵担保責任)が求められる場合もあります。

そのため、自宅を買主に引き渡した後に欠陥や故障などの瑕疵が見つかると、売主と買主のどちらが責任(瑕疵担保責任)を負うかで揉めることが多いのです。

そこで「瑕疵担保責任」とはどのようなものなのか、内容を詳しくみてみましょう。

*なお「瑕疵担保責任」は改正民法が施行される「2020年」まで有効。
2020年以降は「瑕疵担保責任」は「契約不適合責任」と呼び名が変わり、売主の責任内容も改正されるので注意してください。

売主が瑕疵担保責任の対象となる3つの条件

現行民法で、売主が物件の不具合責任(瑕疵担保責任)を負うのは「3つの条件」を満たした瑕疵」が発覚した場合のみ。

ですから、売主が全ての不具合に対して責任を負うわけではありません。

そこで、瑕疵担保責任の対象となる3つの基本条件をご紹介します。

1、売却物件に「瑕疵(かし)」があること。

瑕疵とは、本来持つべき品質や性能が欠けている状態。もしくは、契約の目的を達成することができない状態のことです。

ただし、瑕疵担保責任は、排水管が詰まっているなど、物件自体の欠陥や不具合だけが対象ではありません。

近隣の工場の騒音や振動で眠れないなど、周辺環境の影響で住み心地が悪くなる状態も瑕疵に含まれるので注意が必要です。

2、売買契約を結んだ時点ですでに存在していた瑕疵であること。

中古マンションの室内は、売主家族が生活していたので、室内設備に汚れや傷、故障などの不具合がある場合もあります。

しかし、売主が物件責任を問われるのは、売買契約を結んだ時に「既に存在していた不具合」の箇所だけ。

物件を引き渡した後で「新たに発生」した故障や不具合については、売主の瑕疵担保責任は問われません。

たとえ、経年劣化による故障であっても、物件引き渡し後に発生したものは対象外。
もちろん、買主が原因で発生した瑕疵も対象外となります。

3、「隠れた瑕疵」であること。

また、売買契約時に存在していた瑕疵であっても、売主が瑕疵担保責任を問われるのは「隠れた瑕疵」のみ。

「隠れた瑕疵」とは、売買契約時に買主の「善意無過失の瑕疵」のこと。

つまり、売買契約時に不具合が存在していたにも関わらず、買主が「知らなかった」、もしくは「知ることができなかった」ものについてのみ売主の責任が問われます。

ですから、買主が売買契約時に知ろうと思えば知ることができたり、知っているのに知らないふりをしたなど、悪意や過失のある場合は対象外。

そして、売買契約時に「売主から告知されていた瑕疵」も対象外となります。

このように上記の「3つの条件」を満たした瑕疵は、基本的に売主が瑕疵担保責任を負う義務があります。(ただし、契約書に特約の設定があれば責任を回避することも可能。)

そのため、物件の瑕疵が一定条件を満たす場合、買主が売主に補修や修繕費用を求めたり、場合によっては、損害賠償や契約の解除を求めることもできるのです。

しかし、中古マンションには、瑕疵になりうる要因がたくさん存在します。

ですから、売主はあらかじめ「瑕疵の種類」についても知っておく必要があり、トラブルの原因となりそうな項目が自宅にあれば、早めに対処しておかなければなりません。

そこで、マンションの瑕疵にはどのようなものがあるのか見てみましょう。

売却時に気を付けたい「瑕疵の種類」

先にもご紹介したとおり、民法には瑕疵(物件の不具合)について、明確な定義がありません。

しかし、過去の判例などから、瑕疵は主に「4種類」に分類することができます。

物理的瑕疵
雨漏りやシロアリ、配管の詰まり、耐震性強度不足など、建物や室内設備に関する不具合だけでなく、土壌汚染などの地中障害も含みます。

雨漏りやシロアリ、配管の詰まり、耐震性強度不足など、建物や室内設備に関する不具合だけでなく、土壌汚染などの地中障害も含みます。
法律的瑕疵
建物が現在の建築基準法を満たしていない「既存不適格物件」や「再建築不可物件」など、法令上の制限が存在している場合を指します。

建物が現在の建築基準法を満たしていない「既存不適格物件」や「再建築不可物件」など、法令上の制限が存在している場合を指します。

心理的瑕疵
物件そのものには欠陥はなくとも、室内で殺人や自殺、孤独死、事件、事故などが起こり、気持ちの問題で住みにくさを感じる場合を指します。

一般的には「事故物件」や「ワケあり物件」として扱われるケースのこと。

ただし、他の部屋やマンション敷地内で発生した事件や事故も瑕疵に含まれる場合があります。
ただし、他の部屋やマンション敷地内で発生した事件や事故も瑕疵に含まれる場合があります。
環境的瑕疵
近隣工場の騒音や振動、異臭、日照障害、近隣に暴力団事務所があるなど、物件自体には問題はないが、周囲の環境に問題がある場合を指します。
近隣工場の騒音や振動、異臭、日照障害、近隣に暴力団事務所があるなど、物件自体には問題はないが、周囲の環境に問題がある場合を指します。

このように瑕疵とは、故障や破損のような物理的な不具合だけではなく、住み心地の悪さや法令違反なども含みます。

それでは、中古マンションを売却する場合、売主はどのような瑕疵に注意すべきでしょうか?

中古マンション売却時には「心理的瑕疵」と「環境的瑕疵」に要注意

マンションは一棟の建物のなかに、何十世帯も暮らしている集合住宅。

そのため、自宅には問題がないのに、他の部屋や住人が瑕疵(物件不具合)となり、売却が不利になる場合もあります。

そこで、マンションの売却時の瑕疵(物件不具合)の取り扱い注意ポイントを2つご紹介します。

建物や共用部分、敷地内は全て瑕疵の対象になります。

マンションの敷地内で事件や事故が起こると、自宅とは関係なくても売却が不利になる場合があります。

最もわかりやすい例は、マンション内で発生した事件や事故がニュース報道された場合。

テレビや新聞などでマンション名が世間に知られると、事件や事故の内容によっては、マンション全体がしばらくの間「事故物件」の扱いになる場合もあります。

また、世間に知られていなくても、買主が購入後に事実を知った時に嫌悪感や拒絶感を示す可能性がある場合は「瑕疵(心理的瑕疵、環境的瑕疵)」として扱わなければなりません。

売主が物件に瑕疵(不具合)があることを隠して自宅を売却すると、売却後に買主から契約解除や存外請求を求められる可能性があります。

そのため、売主は売買契約を結ぶ前に、あらかじめ買主に事件や事故の発生事実の告知が必要。

しかし、売主から瑕疵を告知されたことで、買主が物件の購入を断念したり、事故物件として大幅な値引きを求める可能性もあり、自宅の売却がとても不利になるのです。

しかし、売主から瑕疵を告知されたことで、買主が物件の購入を断念したり、事故物件として大幅な値引きを求める可能性もあり、自宅の売却がとても不利になるのです。

瑕疵は人によって感じ方がちがいます。

瑕疵の中でも「心理的瑕疵」や「環境的瑕疵」は、不快感や住みにくさなど「主観での判断(個人的意見)」なので、人によって評価が違います。

そのため、売主が気にならないことでも、買主には瑕疵と感じる場合もあるのです。

例えば、自宅の真上のお宅に子供がいると、室内で騒ぐ音が響いてくることもあります。

しかし、自分が子育て中であれば、子供の行動が理解できるので、天井からの物音も「元気なお子さんだな」と思う程度。
ところが、子供のいない家族や単身者には騒音でしかありません。

このように、同じ音でも「にぎやか」と感じるか「うるさい」と感じるかは、人によって全く違うのです。

このように、同じ音でも「にぎやか」と感じるか「うるさい」と感じるかは、人によって全く違うのです。

そして、この例の場合も、自宅を売却した後に買主から「上の部屋がうるさい事を事前に知っていたら購入しなかった」と言われてトラブルになる可能性があります。

ですから、瑕疵の種類の中でも「心理的瑕疵」や「環境的瑕疵」の判断はとても難しく、売却後のトラブルの原因になりやすいので売主はとくに注意が必要です。

そこで、瑕疵判断の難しさをより理解していただくために、実際の判例ケースも1つご紹介しておきます。

隣人トラブルも瑕疵になる?

先の子供の騒音の例でもわかるように、マンションは集合住宅なので、上下左右の部屋との「隣人トラブル」が起こりやすい環境にあります。

では、ここでみなさんに質問です。

「子供の声がうるさい」と苦情を言われて隣人との関係が悪化したことを理由に自宅を売却する場合、この「隣人トラブル」は瑕疵に該当すると思いますか?

通常、ご近所トラブルは個人間で起こる揉め事です。
そのため、どちらか一方が引越しすれば解決すると考えるのが一般的。

ですから、自宅を売却するときに、売主の「個人的な隣人との揉め事」のことを、わざわざ買主に告知する必要はないと誰もが思います。

ところが、実際の判例では、隣人トラブルの事実を買主に説明しなかった売主と仲介業者の説明義務違反が認められ、損害賠償を命じた判決が出ているのです。(大阪高裁 平成16年12月2日)

では、なぜ隣人トラブルが瑕疵と認められたのでしょうか?

隣人トラブルは買主にも起こる可能性があります。

この判例ケースでは、買主にも売主と同じ年頃の子供がいたため、売主の場合と同様に買主も隣人から苦情や嫌がらせを受けることになりました。

そして、隣人からの悪質な嫌がらせが原因で、買主は購入した家に住むことを断念

その結果、売主や仲介した不動産会社を相手に「瑕疵の告知義務」についての裁判となり、「隣人トラブル」を瑕疵と認める判決が下されたのです。

このように、隣人トラブルには「買主も同じ状態になるかもしれない」という環境的瑕疵の要素があります。

また「売主が隣人トラブルを起こしていることを知っていたら買わなかった」と買主が思う心理的瑕疵の要素も含んでいます。

ですから、自宅に瑕疵になる可能性のある要因があれば、売主は売却後の瑕疵トラブルを回避するため、必ず売買契約前に買主に告知しておかなければなりません。

しかし、売却前に買主に物件の不具合を正直に告げると売却が不利になります。

では、買主にどこまで瑕疵の存在を伝えるべきなのでしょうか?

買主に瑕疵の存在をどこまで伝えるべき?

売却後の瑕疵トラブルを防ぐためには「隠れた瑕疵」を作らないことが大切。

なぜなら、売主に瑕疵担保責任が問われるのは「隠れた瑕疵」だけだから。
もしも、売買契約時に買主に説明して了承を得ていれば「隠れた瑕疵」にはなりません。

そのため、瑕疵トラブルの予防には、売買契約時に契約書に添付する「告知書(付帯設備及び物件状況報告書)」が非常に有効です。

瑕疵になりそうな要因は全て「告知書」に記載しましょう。

「告知書(付帯設備及び物件状況報告書)」とは、売主が物件や室内設備の状況について記載した書類のこと。

売主が告知書を作成して不動産会社に提出しておくと、担当者は物件説明に利用したり、売買契約書に添付することで「隠れた瑕疵」を予防します。

「告知書(付帯設備及び物件状況報告書)」とは、売主が物件や室内設備の状況について記載した書類のこと。引用元:付帯設備及び物件状況確認書(告知書):動産社.com

ただし、告知書の作成には手間も暇もかかるので、とても面倒な作業。
また、売主が任意で作成する書類なので、必ず提出が必要な書類でもありません。

しかし、告知書を作成することで、売主は「瑕疵担保責任」を回避できるので、自分の身を守るためにも告知書の作成と提出をおすすめします。

また、瑕疵になりそうな要因は、告知書に記載するだけでなく、あらかじめ不動産会社の担当者に売主から直接、口頭で伝えておくことも大切です。

瑕疵の告知の判断は不動産会社に任せましょう。

基本的に、買主に物件の説明をするのは売主ではなく、不動産会社の担当者。
そのため、瑕疵に関する情報は、真っ先に担当者に伝えておかなければなりません。

ただし、売主が独断で瑕疵の存在を買主に告知することはやめましょう。

売主が勝手に買主に瑕疵の存在を告知すると、担当者の販売活動を妨害してしまう可能性があります。

ですから、瑕疵の告知に関することは全て担当者に任せましょう。

すると、物件に瑕疵が多く存在していても、担当者が説明の仕方やタイミングに配慮しながら上手に買主に伝えます。

また、良心的な担当者であれば、売主の利益を考慮して「売主は瑕疵担保責任を負わない」という特約を買主に交渉してくれるかもしれません。

不動産会社にも瑕疵を隠すと契約トラブルになります。

なお、売主が自宅を高く売りたいために、買主だけでなく、不動産会社にも瑕疵の存在を隠してはいけません。

もしも、後に瑕疵が発覚した場合、買主と「瑕疵トラブル」になるだけでなく、不動産会社との「仲介契約(媒介契約)トラブル」になる可能性もあるので要注意。

そして、売却が嘘をついたことで担当者との信頼関係を失うと、積極的な販売活動が期待できず、自宅の売却には不利。

むしろ、売主が正直に話すことで、担当者との間に信頼関係を築くことができれば、優先的な販売活動も期待できるので、結果的には売却が有利になります。

このように、たとえ瑕疵が多い物件であっても、売主が告知書を作成したり、良い不動産会社に仲介を依頼できれば、売却を有利にすることができます。

言い換えれば、瑕疵が多い物件ほど、不動産会社選びはとても重要。

売主が不動産会社を選ぶときは、複数の候補の中から、会社の規模や実績はもちろん、担当者の人柄や自分との相性も見極めて選ぶようにしましょう。

すると、売主が担当者に何でも相談できるので、協力しながら有効な売却活動を行うことができ、瑕疵の多い物件でも不安なくスムーズに自宅を売却しやすくなるのです。

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