中古マンションの売却が有利になる評価制度|住宅性能表示制度とは?

中古マンションの売却が有利になる評価制度|住宅性能表示制度とは?

平成17年(2005年)、某一級建築士が起こした「構造計算書偽装事件」をきっかけに、マンションの構造や施工に不安を持つ人が増えました。

その影響で事件以降、新築や中古物件に限らず、マンションを選ぶ時には「耐震性」や「免震性」、「地盤の強度」をチェックすることが常識となったのです。

そこで、注目されるようになったのが「住宅性能表示制度」。

「住宅性能表示制度」とは、マンションの耐震性などの構造を誰でもわかりやすく理解できるように「等級」で評価・表示する制度です。

そのため「住宅性能表示制度」を利用しているマンションは、物件の性能や品質がわかりやすく、買主が安心して購入できるので中古物件の売却にも有利と言われています。

そこで、まだ知らない人も多い「住宅性能表示制度」について詳しくご紹介します。

住宅性能表示制度とは?

「住宅性能表示制度」とは、住宅の設計や性能を等級で評価して格付け表示する「任意制度」です。

「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(品確法)に基づいて、平成12年4月1日より実施されています。

これまで、住宅の構造や性能に関する紛争において専門的な判断基準がなかったために、売買時にトラブルが起こりやすく解決にも時間がかかりました。

そんな状況のなかで「構造計算書偽装事件」が起こり、住宅の構造や施工に対する不信感が高まったために、全国統一の性能評価基準と表示制度を作ったのです。

開始当初は「新築住宅」だけを対象にしていましたが、平成14年12月からは、新築・既存を問わず、全ての住宅を対象に実施されています。

物件の評価は誰が行うの?

住宅性能の評価は、国土交通大臣の登録を受けた住宅性能評価機関(第三者機関)が、図面や建物の審査を行い、その結果を「住宅性能評価書」に記載して交付します。

引用元:札幌市ホームページ-建設住宅性能評価書

設計住宅性能評価書引用元:住宅生協-設計住宅性能評価書

なお「住宅性能評価書」に記載された内容は、単に物件の性能をわかりやすくするための参考評価ではありません。

売買契約書に住宅性能評価書を添付して売却契約が成立した場合、評価書の記載内容は「国のお墨付き」として保証されます。

そのため、住宅性能評価書の交付を受けている物件は信頼感や安心感が高く、一般物件よりも、新築販売や中古売却が有利になると言われているのです。

住宅性能表示の種類

ただし、住宅性能表示制度は法律に基づいた制度ですが、建物の性能をアピールするための「任意制度」。

そのため、新築物件が必ず住宅性能表示制度を利用している訳ではありません。

また、住宅性能表示には、設計時に審査を受ける「設計住宅性能評価」と、建設した後に審査を受ける「建設住宅性能評価」の2種類あり、どちらか1つだけの選択も可能。

ですから、どちらか1つの審査しか受けていない場合は、評価書に表示されているマーク(標章)で「いつ受けた評価なのか」を必ず確認しましょう。

そこで、2種類の住宅性能評価マーク(標章)をご紹介します。

設計住宅性能評価書のマーク

下記の画像はリサーチ段階で拾ったので、引用元不明です。
そのまま使用できるか一応確認してください。

このマークが表示された住宅性能評価書は「建築前の設計図面の段階」で受けた性能評価の審査結果が記載されています。

建設住宅性能評価書のマーク

下記の画像はリサーチ段階で拾ったので、引用元不明です。
そのまま使用できるか一応確認してください。

このマークが表示された住宅性能評価書は「建設完了後」に受けた性能評価の審査結果が記載されています。

では、住宅性能評価とは、どのような項目を審査するのでしょうか?

住宅性能表示制度の主な表示項目

住宅性能評価は主に10分野について審査を行い、評価結果は「等級」や「数値」で表示します。

ただし、一部の評価項目は「選択制」。
そのため、物件によって住宅性能評価書に表示されている項目に違いがあります。

それでは、10分野の性能評価の項目を詳しく見てみましょう。

住宅性能表示される主な評価項目

①耐震性(構造の安定性)

地震や強風が発生した時の建物の倒壊や破損に対する強度を「等級1~3」で評価します。

主な評価項目は、耐震性、免震性、耐風性、耐積雪性、地盤の許容支持力など。

②防火性(火災時の安全性)

住宅内で火事が起こった時の避難のしやすさや防火性を「等級1~4」で評価します。
主な評価項目は、火災報知機の設置、延焼を防ぐための外壁材の耐火性など。

③耐久性(劣化の軽減)

建物の土台や柱、梁などの経年劣化(腐食やサビなど)を防ぐ対策を「等級1~3」で評価。

主な評価項目は、材料の選定や防湿処理など。

④維持管理・交換への配慮

給水管や排水管、ガス管など、建物よりも寿命が短い配管類への、補修や掃除、点検、交換のしやすさなど、建物構造の配慮を「等級1~3」で評価します。

⑤省エネルギー性への配慮

これまでは建物の外壁や窓などの「断熱性」を評価するだけでしたが、住宅省エネルギー基準の改正(平成25年10月)により、評価方法の基準が変更。

現在では、外壁や窓だけでなく、暖房や冷房、照明、給湯などの設備の性能や、太陽光発電などの「創エネルギー性」も含み、総合的に「等級1~4」で評価を行います。

⑥シックハウス対策(空気環境)

シックハウス症候群(アレルギーの一種)の原因とされる「ホルムアルデヒド」などの化学物質を含む建材や接着剤の使用状況などを「等級1~3」で評価します。

日本工業規格(JIS)や日本農林規格(JAS)が定めた「ホルムアルデヒドの発散等級」に従い、特定建材を使用する場合は、どの等級の材質を使用しているかも表示。

主な評価項目は、木質建材、フローリング材、合板、壁紙、塗料、接着剤、断熱材など。

⑦採光・視環境

東西南北の4方向と天井の計5方向に対する「窓の大きさ」(床面積に対する窓面積の割合)を主に評価します。

⑧遮音性(音環境)

マンションの上下両隣への音の伝わりにくさを「等級1~3」で評価します。

ベランダに面したサッシなどを評価対象に、外から聞こえる騒音(空気電播音)を遮断する性能の評価を方位別に表示。

⑨高齢者への配慮(バリアフリー性)

高齢者や障害者が生活しやすいように工夫されているかを「等級1~5」で評価します。

主な評価項目は、出入り口の段差や廊下の幅、階段の勾配(こうばい)など。

⑩防犯への配慮

主に、住宅の出入り口や窓などの開口部からの侵入防止対策を評価。
開口部に防犯性の高い建物部品を使用しているかどうかが審査されます。

「防犯への配慮」は、平成18年度4月より住宅性能表示制度の10番目の分野として採用された評価項目です。

なお、住宅性能表示制度の等級評価基準などの詳細については、下記URLを参考にしてください。

参考元:国土交通省-「新築住宅の住宅性能表示制度ガイド」 

このように、住宅性能表示制度は、購入者が物件を内覧しただけではわからない専門的な物件の構造や品質をわかりやすく等級や数値で把握できるように工夫されています。

そのため、現在では、住宅メーカーが注文住宅を建築する際のオーダーシートに住宅性能評価の等級を利用。依頼主は希望する等級で家を建てることもできます。

住宅性能表示制度に基づくパナホームの対応表パナホーム-住宅性能表示制度に基づくパナホームの対応表

表示項目表示内容等級
構造の内定耐震等級/構造躯体の倒壊等防止1~3
耐震等級/構造躯体の損傷防止1~3
耐風等級/構造躯体の倒壊等防止及び損傷防止1~2
地盤又は杭の許容支持力等及びその設定方法表示
基礎の構造方法及び形式等表示
火災時の安全感知警報装置設置等級(自住戸火災時)1~4
耐火等級(延焼の恐れのある部分/開口部)1~3
耐火等級(延焼の恐れのある部分/開口部以外)1~4
劣化の軽減劣化対策等級(構造躯体等)1~3
維持管理への配慮維持管理対策等級(専用配管)1~3
温熱環境省エネルギー対策等級1~4
空気環境ホルムアルデヒド対策(内装及び天井裏)表示
ホルムアルデヒド発散等級(内装)1~3
ホルムアルデヒド発散等級(天井裏等)2~3
居室 換気対策機械 常時 換気 機械換気設備
局所換気設備(換気の方法)台所・浴室・トイレ(機械換気設備)
光・視環境単純化以降率表示
方位別開口比表示
音環境透過損失等級(外壁開口部)1~3
高齢者への配慮高齢者等配慮対策等級(専用部分)1~5
防犯性能開口部への侵入防止対策表示

ここまで、住宅性能表示制度の評価項目などの概要を見てきましたが、一般消費者にもわかりやすく、とても良い制度にも思えます。

しかし、住宅性能表示制度があまり知られていないのはなぜでしょうか?

そこで、住宅性能表示制度の普及率を見てみましょう。

住宅性能表示制度の普及率

一般財団法人、住宅性能評価・表示協会は「住宅性能評価の普及率の推移」(平成27年8月)を公表しています。

このデータによると、平成26年度の新築物件の住宅性能表示制度(設計住宅性能評価)の普及率は「一戸建て21.6%」、「マンション22.9%」。

この結果は過去5年間、大きな変動がなく普及率は20%程度しかありません。

そのため「住宅性能表示制度」を知らないという人も多いのです。
参考資料:一般財団法人 住宅性能評価・表示協会「住宅性能評価の普及率の推移」

では、消費者に有益な制度でありながら、20%程度の普及率しかないのはなぜなのでしょうか?

住宅性能表示制度の普及が進まない主な理由は、メリットだけでなくデメリットも存在するからです。

そこで、住宅性能表示制度のメリットとデメリットをそれぞれ見てみましょう。

住宅性能表示制度のメリットとデメリット

住宅性能表示制度のメリットとデメリットを、売主側と買主側、それぞれの立場でまとめました。

住宅性能表示制度のメリット

住宅性能表示制度を利用すると、売主側は「自宅の売却が有利」になりますが、買主側にも「候補物件を比較検討しやすい」などのメリットがあります。

以降、メリットとデメリットについて、それぞれ「買主側」と「売主側」に分けて記事を書いています。
そのため、「買主」と「売主」のどちらかがわかるように、見出しを色分け、もしくは枠の装飾などで、区別しやすいように表示してもらえるとありがたいです。

売主側のメリット

・物件に付加価値を付けることができる
住宅性能表示制度で最高等級(優良物件)の評価を受けると、物件の付加価値となるので、資産価値の維持に役立ちます。

・売却が有利になる
住宅性能表示制度の評価項目には購入者の関心が高い、耐震性や免震性などの建物の強度に関する評価があるので、等級が高ければ売却が有利になります。

・揉め事が起こった場合、安価で迅速に解決できる
住宅性能表示制度を受けた物件でトラブルが起こった場合、紛争解決のために「指定住宅紛争処理機関」が安価に利用できる制度があります。

「指定住宅紛争処理機関」とは国土交通大臣の指定で各地の弁護士会に設けられた、民間の裁判外紛争処理機関。

裁判に頼らず、早期に住宅紛争の解決を目指すための機関で、住宅性能表示評価書の記載内容だけでなく、売買契約に関する全ての紛争処理の解決を相談できます。

また、裁判になると多額な費用もかかりますが、指定住宅紛争処理機関では、手数料「1万円」で住宅紛争の解決のお手伝いをしてもらえるのです。

買主側のメリット

専門知識がなくても住宅の構造や施工状況がわかりやすい
素人では判別しにくい住宅の性能を、全国統一規格で評価して、誰でも理解しやすいのが「住宅性能表示制度」の最大のメリット。

そのため、等級を見れば専門知識がなくても住宅性能の優劣を判断することができます。

他の物件と比較検討しやすい
住宅性能表示があることで、買主は建物の品質がわかりやすく、他の物件とも比較しやすいので、安心して住宅を購入することができます。

住宅ローンの金利優遇が受けられる
住宅性能表示制度の評価を受けた物件は、一定の品質保証があります。
そのため、住宅ローンの金利優遇や地震保険の割引などのメリットがあります。

このように、住宅性能表示制度は、売主と買主の双方にメリットがあります。
しかし残念ながら、住宅性能表示制度にはデメリットもあるのです。

住宅性能表示制度のデメリット

住宅性能表示制度を利用すると、住宅の評価によって売却が不利になる場合があります。

また、買主側も評価内容は理解できても「住みやすい物件かどうか」までは判断できないデメリットがあります。

売主側のデメリット

・物件価格が割高になる
住宅性能評価を意識して建てられたマンションは、性能の等級が高くなるように設計されているので建築コストが割高になります。

また、住宅性能評価は自主審査(任意審査)なので、評価を受けるための費用も必要です。

そして、これらの建築コストや住宅性能評価の費用は、全て物件代金に上乗せされているのが一般的。

そのため、住宅性能評価の等級が高いマンションは資産価値も高い反面、物件価格が通常よりも割高になるのです。

・売り出し価格が高くなり売却に不利になる
住宅性能評価の等級が高いマンションは、売却時に近隣マンションよりも売り出し価格が高くなる傾向があります。

そのため、立地条件が悪い物件やライバル物件が多い地域で、資産価値を重視して割高な価格で売り出すと、売却が不利になることも多いのです。

・性能評価の等級が売却を不利にする
住宅性能評価制度はもともと、買主が住宅の性能を他の物件と比較できるようにすることを目的に作られた表示制度。

そのため、全ての項目が最高等級でもない限り、他の物件と比較されて負けてしまう可能性があります。

また、1項目でも等級が極端に低い項目があると、物件全体のイメージがダウン。

すると、住宅性能表示制度を利用していない物件との比較でも売却が不利になる場合もあるのです。

買主側のデメリット

・評価が高くても住み心地が良いとは限らない
住宅性能評価は、主に新築時に売主(マンションディベロッパーなど)が新築物件を販売しやすくする目的で利用しています。

そのため、性能評価の等級が高いからといって、必ずしも住み心地の良いとは限りません。

例えば、住宅性能評価を意識して建てられた住宅は窓が大きく採光には優れています。
しかし、窓が大きいことで、外部から室内が丸見えになり生活しにくくなる可能性もあるのです。

・設計住宅性能評価は「予測の範囲内」での評価でしかない
先に住宅性能評価制度には「設計時の評価」と「建設後の評価」の2種類あるとご紹介しました。

そのうち、設計の段階で評価審査を受けた「設計住宅性能評価」のうち、建築後でしか測定評価できない項目は「予測の範囲内」での評価になります。

ですから「設計住宅性能評価」しか受けていない場合、建築後の実物とは違う評価が表示されている可能性もあります。

・都合の悪い項目は表示されていない
住宅性能表示制度の評価項目には「必須項目」と「選択項目」があるので、必ずしも全ての項目が表記されている訳ではありません。

さらに、平成27年4月1日には項目の改訂もあり「選択項目」が格段に増えました。

その結果、先にご紹介した住宅性能表示制度の10項目の内、必須項目は「耐震性」、「耐久性」、「維持管理」、「省エネルギー性」の4項目のみ。

マンションで誰もが気になる「シックハウス対策」や「防音性」、「遮音性」、「空気環境」は全て「選択項目」です。

そのため、販売に都合の悪い選択項目は意図的に表記されない傾向があるので、買い替えで新居を購入するときには注意しましょう。

このように、住宅性能表示制度は、売却や買主の双方にデメリットがあるため、良い制度でありながらあまり普及していません。

さらに、評価項目の見直しがあり「必須項目」が大幅に減少したことで、住宅性能評価制度の信頼度が落ちるとも言われています。

しかし、平成27年度以前に住宅性能評価制度を受けている物件は、必須項目も多く信頼度が高い評価。等級が高い項目があれば売却時の物件アピールになります。

ですので、自宅マンションの売却を決意したら「住宅性能評価書」が交付されていないか一度確認してみてください。

そして、住宅性能評価書が見つかったら、不動産会社の訪問査定時、もしくは仲介契約を結ぶ時に不動産会社に必ず提出しましょう。

すると、不動産会社の査定価格が上がったり、評価書があると販売活動が行いやすいので、担当者の営業意欲を高める効果も期待できるのです。

平成12年以前の物件でも「住宅性能評価」を受けている可能性があります。

通常、新築物件が住宅性能評価を受けている場合は、購入時の売買契約書に「住宅性能評価書」が添付されています。

そのため、新築で自宅を購入した売主は、マンションの売却を開始する前に、住宅性能評価書交付されていないか売買契約書を確認しましょう。

なお、住宅性能評価制度が始まる平成12年4月以前に建設された物件でも、免震性や耐震性、建物の強度などを調べるために、管理組合が評価を依頼している場合もあります。

組合総会や回覧板などで「マンションの耐震強度を調べた」と聞き覚えがある人は、住宅性能評価書の交付を受けていないか管理組合に確認してみてください。

ちなみに、現在売り出し中の新築物件の場合、住宅性能評価を受けていればモデルルームで評価書の閲覧が可能。

ですから、買い替えで新居を購入する場合も、住宅性能評価を受けているかを確認しておくと、良い物件が見極めやすくなります。

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